アニメ『ポプテピピック』第3話・パロディ元ネタ解説
暗闇は無く、無知があるのみ。
－ ウィリアム・シェイクスピア『十二夜』第四場
こんなアニメ3週も続けちゃっていいのかよ。
というわけで今回もパロネタ解説です。
声優
小松未可子&上坂すみれ
Aパートでは事前告知されていたコンビが満を持して登場。かつてメイン声優投入に3週もかけたアニメがあっただろうか。これで本編で小松未可子だけハブられるという事態は回避されたが
小松未可子
ヒラタオフィス所属の女性声優、女優、歌手。主な出演作として『HEROMAN』のジョーイ、『遊☆戯☆王ZEXAL』の観月小鳥など。
上坂すみれ
スペースクラフト・エンタテインメントおよびKING AMUSEMENT CREATIVE所属の女性声優、タレント、歌手。主な出演作として『アイドルマスター シンデレラガールズ』のアナスタシア、『ガールズ&パンツァー』のノンナなど。
中尾隆聖&若本規夫
Bパートではまさかのまず声を知らない人はいない超大物コンビが登場。なんでオファー受けちゃったんですか。
それぞれ『ドラゴンボール』でメイン悪役であるフリーザとセルを演じており、『ドラゴンボールGT』においては共演もしている。
中尾隆聖
81プロデュース所属の男性声優、俳優、ナレーター、歌手、演出家。主な出演作として『それいけ！アンパンマン』のばいきんまん、『にこにこぷん』のポロリなど。
若本規夫
シグマ・セブン所属の男性声優、俳優、ナレーター。主な出演作として『サザエさん』の穴子、『銀河英雄伝説』のオスカー・フォン・ロイエンタールなど。
オープニング
前回に引き続き上坂すみれの『POP TEAM EPIC』。どうやらこれを正規OPとしていくようだ。
エグゼクティブ クソマンガ アドバイザー 大川ぶくぶ
原作者が原作者でなくなった。なんだよその役職。
ペールギュント『朝』
ノルウェーの作曲家エドヴァルド・グリーグの代表作『ペール・ギュント(Peer Gynt)』第4幕前奏曲『朝のすがすがしさ(Morgenstemning)』のこと。クラシックでは有名な方であり、日本ではもっぱら『朝』の通称で呼ばれる。
#3 ザ・ドキュメント
ザ・ドキュメント ～アイドルの夢の向こう側～
ロゴはNHKのドキュメンタリー番組『プロジェクトX ～挑戦者たち～』、BGMは同じくNHKのドキュメンタリー『プロフェッショナル 仕事の流儀』のテーマソング、kōkua(コクア)の『Progress』*1。NHKにどこまで喧嘩を売るつもりだ。
ちなみにナレーションは『世界まる見え！テレビ特捜部』などのバラエティ番組のナレーターとして名高い広中雅志。何故ベストを尽くしていくのか。
ポプちんwithおりこうモンキーズ
名称の元ネタは過去に活動していたダンスアイドルグループ『安室奈美恵 with SUPER MONKEY'S』。
ポプちん
着ている衣装が過去に活動していたアイドルグループ『ミニモニ。』のもの、さらにいうと加護亜依が着ていたものに酷似。
加護のモーニング娘。卒業後の2006年2月、週刊誌『フライデー』にて当時18歳だった加護の喫煙写真が掲載され、「人気アイドルの未成年喫煙」として騒動になった。
おりこうモンキーズ
声優はそれぞれ元AKB48の佐藤亜美菜と元SKE48の秦佐和子。元アイドルにアイドル役をやらせるあたりしっかりしている。
また着ている衣装も登場時はミニモニ。に、握手会時はAKB48に、
メンバー入れ替え直前はももいろクローバーZにそれぞれ酷似したものを着用。
今日も一日がんばるぞい！
得能正太郎の漫画『NEW GAME!』の主人公涼風青葉の台詞*2。
ポプテピピック漫画版ではアニメ版NEW GAME!放映時、ポプ子が何の脈絡もなく「がんばるぞい！」と言い出した挙句「めっちゃ流行ってる～～」「私が最初に言いだした事になんねーかな」と悪態をついたり、同じく「がんばるぞい」をパロった『ハッカドール*3』を「他人のネタを無断で使うフテエヤロー」として自分を棚に上げて槍玉に挙げ「芳文社さん*4あいつどうします！？」と言い放ったりとやりたい放題だった。
ちなみに今回の放送でとうとう作者にバレた。
がんばるぞい見ちゃったわ…
— 得能正太郎 (@tokutaro) 2018年1月20日
おこった？
あの子はペンテツ取るワーウツやさかい
所謂「業界用語」。「あの子はテッペン取る器だから」という意味。
ビール瓶
2017年11月に問題となり、現在も論争が続く相撲力士日馬富士が同じく力士の貴ノ岩にビール瓶で殴打などの暴行を加えたとされる事件が元ネタ。
角界のいじめやしごきの実態、日本相撲協会の杜撰な体制などが浮き彫りとなり、貴ノ岩の師匠である貴乃花や横綱白鵬など周辺人物の行動も相まって現在も絶えずマスメディアを騒がせている。
余談だがビール瓶は生半可な力ではまず割れない。2009年にスイスはベルン大学研究チームが行った実験によると、空き瓶の時点で40ジュールの衝撃に耐えるという、頭蓋骨より硬い驚異的な硬度を誇ることが証明されている*5。映画などで小気味よくパリンパリンと割れるのは蝋で作ったプロップ(にせもの)であるため。ポプ子は相当な力でファンを殴っていたことになる。
おりこうモンキーズ(二代目)
衣装が乃木坂46三期生の衣装に酷似。
クローンポプちん量産計画
Bパートの担当が担当なだけにメタルクウラのパロディっぽい気もする。
クウラはフリーザの兄。メタルクウラはそのクウラの量産型。担当はBパートポプ子と同じく中尾隆聖。
ピピPの衣装
カプコンの格ゲー『ストリートファイター』シリーズの登場人物『ベガ』。
Bパートピピ美担当の若本規夫は『ストリートファイターIV』、『CAPCOM VS. SNK』シリーズなどでベガの声優も務めている。
背景
大友克洋監督のアニメ映画『AKIRA』のラストシーンのパロディという指摘あり。
ドットパート
たった10秒程度のシーンにネタをこれでもかと突っ込んだ狂気のパート。
「もうだめだ!!タオルをなげてくれ!!」「すまん!!レゲエファンにタオルをうばわれた!!」
キャラクターは高森朝雄原作、ちばてつや作画の漫画『あしたのジョー』の主人公矢吹ジョーと師匠の丹下段平。
ボクサーのパンツが緑であり、丹下ポジションが本物より色黒なのを鑑みると、恐らく任天堂のゲーム『マイクタイソン・パンチアウト!!』の主人公リトル・マックと師匠のドック・ルイスも含まれている可能性大。
背景含むシチュエーションはカプコンのゲーム『ロックマンX』シグマステージ1のエックスとゼロそのまんま。
「タオルを投げる」という行為はボクシングにおいて敗色濃厚な選手のセカンド(補佐)がリングにタオルを投げ入れ、棄権の意思を示すこと。言わば白旗のようなもの。
そして「レゲエファンにタオルを奪われた」というのはレゲエアーティストやファンが行うパフォーマンス『プロペラチューン』の事。
『タオル回し』自体は1975年にNFLのピッツバーグ・スティーラーズのサポーターが行った『テリブル・タオル(The Terrible Towel)』が元という説が有力だが、ことレゲエにおいてはジャマイカにて1980-90年代に発生したという説もある。
上昇後の横スクロールシューティング。ポプ子の上下に飛んでいるものはメサイヤのSTG『超兄貴』のオプション『サムソンとアドン』のパロディ(デザインはポプテピピック漫画版で登場した『ヒーロー(デカオもしくはジャンボ)』)、
日焼けしたほうがアドン、色白がサムソン。何度でも言うがオプションである。
ポプ子の前方に飛んでいるのはアイレムのSTG『R-TYPE』で自機前方に付くオプション『フォース』のパロディ。
カラフルな敵はセガのSTG『ファンタジーゾーン』の自機オパオパ、
緑の敵はタイトーのアーケードSTG『ダライアス』の自機シルバーホーク、
白い敵はコナミのアーケードSTG『グラディウス』の自機ビックバイパー。
ピピ美が扮するのはカプコンがアーケード向けに開発し、マイクロニクスがファミコンに移植したゲーム『魔界村』のザコキャラ『レッドアリーマー』。ポプ子が骨になるのも魔界村のゲームオーバー演出と一緒。
移植の質が悪かったためにレッドアリーマーを筆頭とするザコキャラがめちゃくちゃ強くなってしまい、「魔界村＝超高難易度」の方程式ができあがってしまった。
上にあるRTとFAVの文字はそれぞれTwitterの機能である「リツイート(ReTweet)」と「お気に入り(FAVorite)*6」のこと。
横にあるアカウント名「@popuko_Mandrake」のTwitterにアクセスすると…
— ポプ子 (@popko_mandrake) 2015年8月6日
「態々アニメのために2年半前から準備してた」と言われがちだが、実はコミックス一巻131話(まんがライフWIN版12-10、口裂け女の回)にて既に登場している。
ちなみにMandrakeとはマンドラゴラのこと。引き抜くと悲鳴を上げ、聞いたものは死ぬという伝説のアレ。
ああ、血の色をごまかせるな
マーク・L・レスター監督の映画『コマンドー』序盤、登場人物の一人であるクックがキャデラック(ドゥビル1985年型)を盗むシーンが恐らく元。
フォレスタル「いい音でしょう？ 余裕の音だ、馬力が違いますよ」
クック「一番気に入ってるのは……」
フォレスタル「何です？」
クック「……値段だ」
フォレスタル「わーっ、何を！ わぁ、待って！ ここで動かしちゃ駄目ですよ、待って！ 止まれ！ うわーっ！！」
ちなみにBパートピピ美の若本規夫はコマンドー30周年記念新録版にてラスボスのベネットを演じている。
JAPON MiGNON
作：ティボ・トレスカ
第1話ぶりの登場。今回も3Dアニメーションで参戦。
『本場のフランスパン』を推しているが、日本で販売されているフランスパンは本場のそれと外見こそ似ているものの食感はまるで違う*7。ちなみにフランスではフランスパンのことを『バゲット(Baguette)』と呼ぶ。
またJAPON MiGNON中に出てくる『Boulangerie(パン屋)』の文字。フランスでは1998年5月25日、『décret pain(パン法令)』と呼ばれる法律が制定され、『Boulangerie』を名乗れる店は「パン職人自らが小麦を選び、生地をこね発酵させ、焼いたパンをその場で販売する店のみ」と定められている。つまりポプ子は正真正銘『本場』のフランスパンを味わったことになる。ホントにスキー板にするほど感激するかは知らん
ボブネミミッミ
AC部直送、毎話恒例の癒し空間。本編が若干食われている気がしないでもない。
レッサーパンダ
本編では手を上げて威嚇しているが、配役*8と立ち上がる行為自体は千葉市動物公園のレッサーパンダ『風太』が元と考えられる。
かわいー！
豹変時の顔はアニメ『ガンバの冒険』に登場する悪役、白イタチの『ノロイ』。
その強烈なヴィジュアルと描写で、当時の子供たちにトラウマを植えつけた。
かしこまっ！
『プリパラ』の主人公『真中らぁら』の決め台詞「かしこまっ！」と、それに伴う決めポーズ『かしこまポーズ』。
『ザ・ドキュメント』にも(目線で隠されているが)主人公のユニット『SoLaMi♡SMILE(そらみスマイル)』と思しきポスターが登場している。
ポプテピピックはやけにプリパラを推すが、その理由は原作者の大川ぶくぶがプリパラの大ファンであるため。
一話に一人でこんだけ貢ぐ。この人おかしい…(小声)
「まだあるぞい」って方はコメントよろしくお願いします。
*1:スガシカオがヴォーカルを担当しているため、スガシカオの曲であると誤解されがち。
*2:この台詞が一人歩きし「ぞい」が青葉の口癖のように流布されているが、彼女が作中「ぞい」と言ったのはこの一回のみ。
*3:正確に言うとアニメ版の『ハッカドール THE あにめ～しょん』。パロったのはその11話でのこと。
*4:NEW GAME!掲載誌である『まんがタイムきららキャラット』の発行元。
*5:『Are full or empty beer bottles sturdier and does their fracture-threshold suffice to break the human skull?』より。ベルン大学研究チームはこの実験でイグノーベル平和賞を受賞した。
*6:現在は名称が「いいね(Likes)」に変わったが、機能が同じなため呼び方はあまり変わっていない。
*7:日本のものは小麦のグルテンの粘り気を効かせたもちもちした食感に対し、本場はその気候故、グルテンの少ない小麦を用いた固くサクサクしたものとなっている。
